Ferrari F355を納車した日|Blu Le Mansを、自分のガレージへ

首都高のPAで休憩中のF355

M3が旅立った翌日、フェラーリ F355の納車でした。前車の売却と新車の納車を入れ替わりで通す、ぎりぎりの段取りでしたが、最後は綺麗に繋がりました。

2025年10月半ばの週末の午後、長津田のコーナーストーンズへ電車で伺います。榎本さんが長津田の駅まで迎えに来てくださいました。車は黒のオデッセイアブソルート。渋い。

目次

長津田の午後、コーナーストーンズへ

お店にはソファとカウンターがあって、カウンターの向こうではいつもコーヒーを淹れていただいています。豆は湘南の27 Coffee Roasters。店内にはいつもお花があり、明るくて女性にも入りやすい雰囲気です。怖気付くほど高級ではなく、避けたくなるほど油臭くもありません。奥にはストックがあって、たくさんのフェラーリが鎮座しています。どれが売り物かは、こちらからは分かりません。

こだわりのコーヒーとお菓子をいただきながら、車の説明を受けます。また、納車祝いに、お店のロゴ入りお菓子とFERRARIのスパークリングワインをいただきました。

ほどなく、「準備できました」と榎本さんの声。F355はお店の前まで移動されていました。そして対面の瞬間です。Blu Le Mansを選ぶに至った経緯はFerrari F355 Blu Le Mans|「蒼が好きな方に」に書きましたが、秋の良い天気のもとで見る実車は、深い蒼が少し紫がかって見えます。

コーナーストーンズ店舗の前に置かれるF355

F355のコクピットドリル ― ドイツ人の頭から、イタリア人の頭へ

運転席に乗り込みます。幅の広いサイドシルを足から跨いで、着座。革の香りが残る運転席に座ります。ステアリングの向こうのメーターが、まだ少しだけ遠くにありました。

榎本さんから簡単なコクピットドリル。古い車なので、覚えることはたくさんありませんが、フェラーリには分かりにくい操作が、いくつかあります。

まずサイドブレーキの解除。一度引き上げてから、ボタンを押して戻します。サイドブレーキのレバーはずっと下がっているので、外からブレーキがかかっているかどうかは判別不能です。

それからエアコン。オフにするボタンと、ファン量が0というダイヤルがあって、なかなか理解が難しい。長い間ドイツ人の頭で運転していたので、これからイタリア人の頭に変えていく必要があります。

ひと通り説明が終わり、いよいよエンジンをかけます。1ヶ月ほど前に音は聞いていますが、運転席に座って聴くのは初めてです。ゲート式のシフトをニュートラルに入れ、クラッチを踏み、キーを捻る。最近の車はスタートボタン式が多く、このキーを捻るという所作も、なんだか懐かしい。短いクランキングを挟んで、エンジンが目を覚ましました。

乗る度の、小さな儀式

榎本さんからは、乗る度にやってほしいことが二つあると伝えられました。

ひとつは、エンジンをかける前に冷却水の量を確認すること。リザーバータンクに指を入れてチェックします。F355のような車は毎日乗ることはあまりなく、長く保管されていることも多いので、徐々に冷却水が減っていても気づかない可能性がある、というのが理由と推測します。

冷却液のリザーバータンクに指を入れて確認

もうひとつは、走り終わってエンジンを停止する前に、エンジンオイルの量を確認すること。走っている間も油温計などは見ていますが、停車後にもう一度確認したほうが良いとのこと。実際にやってみると、エンジンが十分温まったときにこれを行うのは、熱くてかなり辛いものでした。とはいえ、燃えたりエンジンを壊したりするよりは、よほど良いでしょう。

走り終わってエンジンフードを開け、熱いエンジンオイルのフィラーキャップを開ける。これが古いフェラーリと暮らすということ、なのかもしれません。

マイレージという制約

最後に、もう一つ大切な助言がありました。車の価値を維持したければ、月間100km、年間1,000km程度のマイレージに収めたほうが良い、というものです。

これはなかなか厳しい。東京から箱根のターンパイクまでは片道約90km。月の予算が片道で消えてしまいます。ターンパイクに行くには、月を跨ぐ必要があるということ。帰りは翌月戦略的に運用を考える必要がありそうです。

お店を後にする

コクピットドリルを終えて、いよいよお店を後にします。本当に自分のものになった瞬間です。

6速ゲート式マニュアル

榎本さんは、「必ずクラッチを繋いでから、アクセルを開けてください」と何度も念を押されました。F355は車重が軽いので、長い半クラッチで車を進める必要はない。その方がクラッチも減らない。そしてたぶん、素人がミッドシップ車に乗るときに、冷えたタイヤでスピンモードに陥らないようにというアドバイスでもあったのだと思います。お店の前で車を壊すような絵は、誰だって遠ざけたいものです。

初フェラーリでの帰り道

緊張しっぱなしの帰り道です。ステアリングを握る手がじんわり汗ばむ。

高速を流してみると、終始安定していたM3とは、かなり感じが違います。もっと軽くて、刹那的というか、華奢な乗り物を運転している感覚があります。とはいえ、まだ流しただけなので、その奥に何があるかはまだ分かりません。

ひとつ困ったのは、デジタルバックミラー。前のオーナーが付けたものらしいのですが、年式のせいか、HDRがあまり効いていないようです。後ろから直射光が入ると、画面全体が白飛びしてしまう。いずれ最新のものに替えたいと思いました。

途中、サービスエリアで休憩。緊張が少しほぐれてきた感じです。それでもまだ車両感覚がつかめておらず、後ろにずいぶん余裕がある停め方でした。

サービスエリアにて休憩 

機械式駐車場、左右2cmの世界

そして最後の関門、ぎりぎりの機械式駐車場への駐車です。

駐車場に到着

パレットの上は余裕があるように見えますが、パレットより前に障害物があって、左右2cmぐらいしかありません。車両間隔ができていないので、感覚的にはほぼ余裕ゼロです。ただ、慣れればそんなに問題なさそうな感じです。さらに、この機械式駐車場は、出庫時には右に数センチずれる癖があるようで、できるだけ左に寄せて入庫しておく必要がありそうです。

1900mmのF355を最大幅1900mmの機械式駐車場に入れた

フェラーリF355を東京で買うということ|駐車場と保険と、愛車との別れで書いた「全幅1,900mmの箱を探す」問題は、納車当日に早速、左右2cmという形で現実になりました。東京の駐車場とフェラーリのサイズ問題は、まだまだ先が長そうです。

オーナーになった、けれど

ともかく、無事に帰宅しF355を駐車できて良かった。

まだ、オーナーになった実感はありません。これからじわじわ来るのでしょうか。ただ、駐車場のドアを閉める時、少し嬉しかったのは間違いありません。

そして翌朝、自分のF355をはじめてじっくり見ることになります―「Ferrari F355との暮らし|納車翌日、はじめてのディテール

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