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フェラーリ F355を東京で買うということ|駐車場と保険と、愛車との別れ

引き取られてゆくBMW M3

Ferrari F355 Blu Le Mans|「青が好きな方に」で書いたとおり、青いF355の購入を決めました。ただ、購入を決めてから納車までには、動かなければならないことがいくつかあります。

駐車場の確保、保険、そして今まで乗ってきた車の売却です。

東京都内でフェラーリを買う。その決断のあとに待っていたのは、3つの小さな、しかし避けて通れない段取りでした。

目次

都心でフェラーリを停める、という制約

手書きの車庫証明書類が届く

コーナーストーンズさんから、車庫証明を申請するための資料一式が届きました。

申請書には綺麗な文字で丁寧に書かれていて、封を開けた瞬間にもてなしの姿勢を感じます。こういう小さな所作に、ショップの品格が表れるものです。結局、横浜で申請することはなかったので、せっかく書いていただいた書類は記念品になっています。

コーナーストーンズさんから届いた自動車保管場所証明書、字が綺麗。

実は同時期に、もう一台別の車を購入していました。そちらのディーラーから届いた書類とは、対応がまるで違います。同じ車庫証明の手続きなのに、ここまで差があると、余計にコーナーストーンズさんの丁寧さが際立ちました。

F355の全幅は1900mm

F355の大きさを確認しておきます。

Ferrari F355 Berlinetta (1994) - Ferrari.com

全長4,250mm、全幅1,900mm、全高1,170mm、最低地上高120mm。

リヤのトレッドは1,615mmで、標準のタイヤ幅は265mm。タイヤ外側間の距離はおよそ1,880mmです。全幅1,900mmというカタログ値はミラーを含まない数字ですが、それでも都心の大半の駐車場にとっての制約ライン、全幅1,850mmを超えています。参考までに、クラウンスポーツの全幅は1,880mmです。

そして、このF355は古い車です。経年で車高が下がっている可能性は十分にあります。カタログ上の最低地上高120mmが、この個体にそのまま当てはまるとは限りません。

数字を見れば見るほど、「本当に入るのか」という心配が具体的になっていきます。

東京で停められる場所を探し、入るのか確認する

一戸建てや平置きの駐車場があれば、話は簡単です。しかし東京都内でそれを望むのは、なかなか贅沢なことです。

ゲート有り、屋根付き、幅広可——ただし車高が低い車にも対応している。こうした条件をすべて満たす駐車場の空きは限られています。そして、拠点から遠いと乗り出すのが億劫になります。フェラーリを買ったのに億劫では、本末転倒です。

いくつか目ぼしい平置き駐車場にあたってみましたが、すべて空き待ち。いつ空くかも分かりません。

そこで、前の車を停めていた機械式駐車場に、とりあえずそのまま入れることを検討しました。収容制限は「全長5.30m以下 × 全幅1.90m以下 × 全高1.55m以下 × 最低地上高0.1m以上」。数字の上ではなんとか収まりそうですが、全幅は両側10mmずつしか余裕がありません。

駐車場へのアプローチやパレットの状況を写真に撮り、コーナーストーンズさんに送って確認します。返ってきたのは、軽く「大丈夫です」という一言。少し不安は残りましたが、信じるしかありません。ダメならリフターをつけることも覚悟しておきます。それはそれで便利ですし。

BMW M3で駐車場へのスロープを確認。

念のため、機械式駐車場に入れて傷がつかないか、そもそも入庫できるのかを駐車場の管理会社にも確認しました。丁寧に対応していただき、こちらも「大丈夫です」とのこと。

BMW M3を入れている駐車場のパレットのあまり。

ショップが大丈夫と言い、管理会社も大丈夫と言う。これで責任の所在は、きれいに私の手を離れました。この横幅の問題は、納車後も続きます。それはまた後の回で。

フェラーリは燃える、という前提

「燃えます」と榎本さん

フェラーリは燃えます。

これは都市伝説ではありません。最近よくフェラーリが燃えるニュースがソーシャルメディアやテレビのニュースで伝えられています。一般人でも「フェラーリは燃える」というのは常識になりかかっているかもしれません。Googleで検索するとたくさん出てきます。

Googleで「フェラーリ 炎上」で検索した

かつてのF40でさえ炎上の事例がありますし、最近では、第307回:カーマニアの未体験ゾーンという記事や首都高での炎上事故が大きく報じられました。

コーナーストーンズの榎本さんにも聞いてみました。返ってきたのは、穏やかな笑顔とともに、「燃えます」。そして「なのでしっかり任意保険に入ってください」と続きました。

知識としては知っていました。しかし、いざ自分がオーナーになろうとしている立場で聞くと、同じ言葉でも重みが違います。燃えてなくなるかもしれない車を、自分の意思で買う。普通に考えたらおかしなことですが、その前提を静かに受け入れてしまう瞬間がありました。

伺った話では、古い車の燃料系統の一部だけを新しくすると、他の部品にストレスがかかって壊れることがあるそうです。人間に当てはめると、血管の一部だけを新しくしたら、換えていないところから漏れ始めるようなものでしょうか。そう考えると理解できなくもないですし、どこか人間味すら感じますが、さすがに燃えるのは困ります。

だからこそ、車両保険は必須です。この点に迷いはありませんでした。車両保険なしにフェラーリを所有する勇気は、さすがに持ち合わせていません。ただ、保険料がどれほどのものか、身構えてはいました。

意外と上がらない任意保険

とはいえ、保険料が法外に高いかというと、そうでもありません。

実勢価格に基づいた車両保険をつけても、前の車がファミリーカーではなかったからかもしれませんが、前の車にかけていた保険料と大きな差はありませんでした。もちろん安くはありません。しかし、「フェラーリだから桁が違う」ということはなかった。今回はあまり比較検討せずに進めましたが、更新時には各社を調べてみるのも良いかもしれません。

これは大きな安心材料でした。保険料が過大となると、所有そのものが心理的な負担になります。前の車と大きく変わらない水準であれば、これは合理的な保険として受け入れられます。

駐車場探しの苦労に比べれば、保険問題は拍子抜けするほどすんなりと片付きました。

10年乗ったM3を手放す

3社の査定と「気持ちが良い人」を選ぶ

最後は、少し悲しいですが今まで乗ってきた車の売却です。

E92型のBMW M3。左ハンドル、6速MT。10年以上連れ添い、走行距離は11万キロを超えていました。長らく相場は横ばいでしたが、このところ少し持ち直してきています。

Price Guide: BMW 3 Series (E92) M3 [UPDATED 2026]

まずは、中古でAbarth 595 Competizioneを購入するディーラーに下取り価格を聞いてみました。最初の提示は、最終的に買い取ってもらった金額の3分の2にも満たない金額です。相場からも明らかに離れていたので少し交渉したところ、その場で50万円ほど値段が上がりました。最初の提示は何だったのでしょうか。こういう最初の一手で、信頼の印象は決まってしまうものです。

それでも少し納得がいかなかったので、ネットで調べた買取会社2社に出張査定をお願いすることにしました。時間がないので、2社とも同日です。

1社目の担当者は徒歩でいらっしゃいました。「乗って帰らないと上司に怒られる」と粘っておられましたが、次の査定が控えているのでお引き取りいただきました。2社目は車でいらっしゃって、さすがに営業慣れした大人の丁寧な雰囲気です。

結果、どちらも提示金額は同じでした。その後、両社からSMSが続きます。少しずつ金額が上がっていきました。

最終的に、2社目の方に買い取ってもらうことにしました。金額が同じなら、気持ちが良い人を選びます。

E92 M3との10年と「十分」だった日々

E92 M3とは、10年以上を共に過ごしてきました。

4Lの自然吸気V8、400馬力。8,400回転まで気持ちよく伸びるエンジンでした。ただ、外で聞けば官能的なはずのV8サウンドも、車内に入ってくる音は意外と地味で、そこは最後まで少し物足りなく感じていました。防音・遮音がしっかりしたドイツ車なので、文句を言うところではないのですが。

BMW E92 M3とG310このときはドイツ勢だった。

足回りは本当によく出来ていました。素直で、バランスが取れていて、過剰なところがない。これ以上を望む必要はない、という感覚が運転のたびにありました。

アメリカでパーツを買って来て自分で交換したこともあります。機械として、自分の手で関われた10年でもありました。

遠出もよくしました。長距離を走り終えて、駐車場でドアを閉める。その瞬間に毎回、十分だ、と思っていたのを覚えています。たぶん、本当に十分だったのだと思います。

それでも、夢を叶える方向に舵を切る

それでも、人生も後半戦に入り、夢を叶える方向に舵を切ることにしました。F355という選択肢が見えてしまった以上、「十分」の続きにいるわけにはいかない。少し寂しいですがOKサインを出して、4日後、M3は引き取られていきました。

M3には、そういう静かな別れ方をしました。

3つの段取りを終えて

駐車場、保険、前の車の売却。3つの段取りを終えました。

特に駐車場は最近のスーパースポーツや大型SUVを都内で走らせるための大きな関門です。2つ目の保険は実際に買って見ないとわからないこと。どれも、フェラーリを買わなければ経験しなかったことばかりです。全幅1,900mmを心配し、「燃えます」と告げられ、10年連れ添った車を見送る。

レッカー業者が引き上げに来た。なんだか寂しい。

夢を叶える方向に舵を切ったあとに待っていたのは、小さな実務の積み重ねでした。こういう手続きは嫌いではないので、すべて自分で動きました。そのひとつひとつが、一気に「フェラーリのある生活」への道を描いていった気がします。

あとは、青いF355が届くのを待つだけです。

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