2026年7月、ワンワールドの世界一周航空券を購入しました。3大陸・ビジネスクラス・1人あたり1,003,760円(税・燃油サーチャージ込み)。羽田を発ち、中欧、イタリア、モロッコを経て、ドーハからアメリカへ渡る西回りの旅程です。
この記事では、購入までに調べ、比較し、実際に発券して分かったことをもとに、世界一周航空券の選び方を整理します。分かるのは次の3点です。
- 世界一周航空券の基本の仕組みと、いま選べるアライアンス
- スターアライアンスとワンワールドの違いと、選び方の判断軸
- 実際にワンワールドで発券したルートと価格
なお、本記事は実際に検討し発券した経験に加えて、各アライアンスが公開している運賃規則の整理を含みます。規則・価格は変更されることがあるため、最新の情報は各アライアンスの公式サイトでご確認ください(2026年8月時点)。
結論|世界一周航空券は実質2択。自分はワンワールドを選んだ

世界一周航空券は、かつて3つのアライアンスが販売していました。しかしスカイチームはプログラムを2023年頃に終了したので、現在一括発券の世界一周航空券として選べるのは、スターアライアンスとワンワールドの2つです。
私はワンワールドを選びました。理由をひとことで言えば、訪問する大陸を3つに絞った旅程では、距離ではなく大陸数で料金が決まるワンワールドの運賃体系が合理的だったからです。加えて、乗りたい飛行機がワンワールド側に揃っていました。
そもそも世界一周航空券とは
普通の航空券と何が違うのか
世界一周航空券は、アライアンス(航空連合)に加盟する複数の航空会社のフライトを組み合わせ、地球を一周するルートを一枚の航空券として発券する仕組みです。基本の枠組みは、両アライアンスでほぼ共通しています。
- 東回りか西回りか、一方向にのみ進む。逆行はできない
- 太平洋と大西洋をそれぞれ1回ずつ横断して、出発国に戻る
- 最大フライト区間数は16区間。有効期間は12か月
- 鉄道やバスで移動する「地上運送区間(サーフェス)」も、区間数に数えられる
旅程設計に効いてくるのが、3つ目と4つ目です。ヨーロッパの都市間を鉄道でつなぐ場合でも、その移動は区間としてカウントされます。この前提を知らないままルートを組むと、あとから区間数が足りなくなります。
都市ごとに片道航空券を買い足していくのと比べ、長距離を移動する場合は特に、一括発券のほうが価格面で有利になりやすいのが特徴です。
スカイチームの世界一周航空券は廃止された
スカイチームは、この10年でポイント・トゥ・ポイント旅行のデジタル基盤が発達し、旅行者の嗜好が大きく変化したことを理由に、慎重な検討の末、世界一周航空券プログラムの終了を決定しました。一時休止ではなく、公式サイトで恒久的な終了が明言されています。
デルタ航空やエールフランス、大韓航空で世界を一周したい場合は、片道航空券を個別に組み合わせる「自作」になります。一枚の航空券として発券される世界一周航空券は、スターアライアンスとワンワールドの2択です。
スターアライアンス vs ワンワールド|基本比較
細かい話に入る前に、両者の違いを先にまとめておきます。
| 項目 | スターアライアンス | ワンワールド |
|---|---|---|
| 料金の決まり方 | マイル制(総飛行距離)のみ | 世界一周運賃は2種類。大陸ベースと距離ベース(ほかに太平洋周遊のサークルパシフィックあり) |
| 料金の段階 | 26,000/29,000/34,000/39,000マイルの4段階 × クラス | 3〜6大陸 × クラス(大陸ベースの場合) |
| 最大区間数 | 16区間 | 16区間(最少3区間) |
| 大陸内の区間数制限 | なし(全体の区間数内で自由) | 北米6区間、その他の大陸は各4区間まで |
| 有効期間 | 1年 | 1年 |
| 最低旅行日数 | ビジネス・ファーストは全体で10泊以上(エコノミーは3泊以上) | 規定なし |
| 途中の日本帰国(旅の分割) | 可能(出発空港とは別の国内空港に戻る形) | 不可 |
| 予約・購入 | 公式のBook & Flyツール、ANAの電話窓口など(未確認) | 公式サイト(oneworld.com)の予約ツール、JALの窓口など |
| 発券・変更の窓口 | 発券した窓口 | 決済を担った航空会社 |
| 主な加盟航空会社 | ANA、ルフトハンザ、ユナイテッド、シンガポール航空など | JAL、ブリティッシュ・エアウェイズ、カタール航空、フィンエアー、キャセイパシフィック、アメリカンなど |
表にすると項目は多く見えます。しかし旅程を具体的に組み始めると、実際に選択を左右するのは、このうちの限られた要素だけでした。
選び方の判断軸は2つ
料金の決まり方が自分の旅程に合うか。そして、乗りたい航空会社がどちらにあるか。この2つで、ほぼ決まります。
軸1|料金の決まり方:距離で決まるか、大陸数で決まるか
スターアライアンスは、旅程全体の総飛行距離で料金が決まります。26,000マイルから39,000マイルまでの4段階で、距離を抑えるほど安くなる一方、行きたい都市を足していくとマイル帯が上がっていく仕組みです。
ワンワールドの周遊運賃は、正確には3種類あります。世界を6つの大陸に区分し、訪問する大陸数とクラスで値段が決まる「oneworld エクスプローラー(大陸ベース)」、総飛行距離で決まる「グローバル・エクスプローラー(距離ベース)」、そして太平洋に接する大陸を巡る「サークルパシフィック・エクスプローラー」です。
このうち地球を一周する世界一周運賃は、前の2つです。公式ツールにルートを入力すると、そのルートが大陸ベースと距離ベースのどちらに当てはまるかが判定され、両方に当てはまる場合は安いほうの料金が採用されます。
大陸ベースの本質は、大陸数さえ増えなければ、大陸間の飛行距離を気にしなくてよいことにあります。
自分の旅程は、アジア・ヨーロッパ/中東・北米の3大陸。ここで効いたのが大陸の区分でした。ワンワールドの区分では、モロッコは「ヨーロッパ/中東」に含まれます。エジプトやチュニジアも同様です。つまりモロッコもドーハも欧州/中東の枠に収まり、3大陸の運賃のまま北アフリカと中東を組み込むことができました。距離で料金が決まる距離ベースなら、この寄り道はそのまま運賃に跳ね返っていたはずです。
ただし大陸ベースにも細則があります。大陸内で利用できる区間数は、北米が6区間、その他の大陸は各4区間まで。地上運送区間もこれに含まれます。また日本を出発する場合、アジア大陸での途中降機は最大2回まで。ルートを組む前にここを押さえておくと、ツール上で何度もエラーを出さずに済みます。
なお、3つ目のサークルパシフィック・エクスプローラーは、太平洋に接する大陸——アジア、オーストラリア/ニュージーランド/南西太平洋、北米——を巡る運賃です。大西洋を渡らないため世界一周ではありませんが、太平洋を挟んだ周遊を考えているなら、こちらのほうが旅程に合うこともあります。予約は旅行代理店経由になります。
もうひとつ、規則の違いで触れておきたいのが、旅の分割です。スターアライアンスでは、出発空港とは別の国内空港に戻る形にすれば、旅の途中で日本に長期滞在できます。まとまった休みが取りにくい人が、世界一周を複数回に分けて使う方法です。ワンワールドには、この仕組みがありません。自分は連続した旅程で使ったため試していませんが、休暇の取り方によっては、料金体系よりもこの違いが決め手になるかもしれません。
軸2|乗りたい航空会社があるか
料金体系の次は、どの飛行機に乗って一周するかです。世界一周航空券では、選んだアライアンスの加盟航空会社しか使えません。
そして、ここで何を基準に見るかは、乗るクラスによって変わります。
エコノミークラスで乗るなら、どちらの上級会員資格を持っているかが効いてきます。 世界一周では、乗り継ぎのために長時間を空港で過ごす場面が何度もあります。しかしエコノミーの航空券だけでは、ラウンジには入れません。ここで効くのが上級会員資格です。ワンワールドならサファイア以上、スターアライアンスならゴールドの資格があれば、対象のラウンジが使えます。JALのマイルを貯めてきたか、ANAのマイルを貯めてきたか。普段の積み重ねが、そのまま乗り継ぎ時間の質を左右します。ただし、最近は上級会員資格を取得・維持するのが困難になってきていると聞きます。
ビジネスクラス以上で乗るなら、上級会員資格は関係ありません。 ラウンジは航空券に付帯するからです。見るべきは、乗りたい座席プロダクトがどちらのアライアンスにあるか。それだけになります。
自分の場合、大西洋横断のドーハ→ニューヨーク間で、カタール航空のビジネスクラス「Qsuite」に乗りたいという希望が先にありました。ドアで仕切られた、個室型の座席です。羽田からの欧州入りはフィンエアー。乗りたい飛行機がワンワールド側に揃っていたことが、決め手のひとつになりました。普段からJALやキャセイパシフィックなど、ワンワールド系を使う機会が多かったことも後押しになっています。この旅の背景は、香港・高雄・台北|キャセイの担々麺でつなぐ、2025年新春の旅にも書きました。

ANAのTHE Room、ルフトハンザ、シンガポール航空で組みたいなら、迷わずスターアライアンスです。ここは優劣ではなく、好みと路線の問題だと思います。
発券してみて分かったこと
ワンワールドは、公式サイトの世界一周予約ツールで、ルート作成から空席確認、決済まで進められます。全区間の空席を電話口でひとつずつ確認してもらう手間を考えれば、画面上でフライトを差し替えながら試行錯誤できるのは非常に便利でした。少しだけ付け加えるとすれば、エラーが出たとき、その理由は自分で見当をつける必要があることぐらいです。

ひとつ想定外だったのは、このツールが見積もりの道具ではなく、カード情報を入力するとそのまま決済まで完了する仕組みだったことです。購入の手順は事前にJALへ電話で確認していたのですが、実際の流れは案内とは食い違うものでした。
結果として、発券と変更の窓口は、決済を担った航空会社になりました。旅程の1区間目にどの航空会社を置くかで、その後の窓口が変わる可能性がある。特に日本語での対応を望むなら、ルートを組む段階で頭の片隅に置いておいてよい話だと思います。
JALとのやり取りの顛末、決済を担うことになった意外な航空会社、そして購入後に必要になった手続き——eチケットの取り寄せ、運航会社ごとに異なる座席指定——については、世界一周航空券の買い方|ワンワールド公式サイトでの予約と、発券の顛末に書きました。
なお、スターアライアンスの予約ツールも見てみました。こちらはもう少しビジュアライズされていて、現代的な印象です。見栄えの点では、スターアライアンスに分があります。ただ、旅程を組んで買う段になると、ワンワールドのほうが実際的でした。どちらが使いやすいとは一概に言えませんが、スターアライアンスのほうが、どこへ行こうかと迷える楽しみがあります。ワンワールドは行き先を自分で指定するしかないので、ある程度、頭のなかに行きたいところが決まっている必要があります。

自分の選択|ワンワールド3大陸・ビジネスクラス
最終的に発券したのは、ワンワールドの3大陸・ビジネスクラス。西回りで、次のルートです。
羽田 → ヘルシンキ(乗り継ぎ) → プラハ → 陸路でウィーン、フィレンツェ、ミラノ、ジェノヴァを抜けてニースへ → カサブランカ → 陸路でマラケシュ → ドーハ(乗り継ぎ) → ニューヨーク → サンディエゴ → 成田
ヨーロッパ域内は、鉄道・レンタカー・バスを組み合わせて自力で移動しています。フライト距離の短い区間を世界一周航空券の区間を使わずに陸路でつなげば、その分の区間を別の場所に回せるからです。また、クアラルンプールからシンガポールまでバスで移動した時と同様、電車・バスでの移動はそれ自体が旅になります。
価格は、税・燃油サーチャージ込みで1,003,760円でした。この内訳は、世界一周航空券の買い方|ワンワールド公式サイトでの予約と、発券の顛末に書きました。

世界一周をする判断の決め手になったのは、もともと行きたかったプラハへの往復運賃との比較です。世界一周航空券がワンワールドである以上、比べる相手もワンワールドで揃えるのが筋です。スカイスキャナーで発券と同じ2026年7月に、ワンワールド加盟社に限定して東京—プラハ間の往復ビジネスクラスを検索した結果は、現実的な便で組んだ最適なプランで932,390円、最安の組み合わせでも643,198円でした。
プラハという1都市を往復するだけで、条件のよい便を選べば90万円を超えます。その最適プランに10万円ほどを足せば、地球を一周し、全区間ビジネスクラスに乗り続けられる。そう考えたとき、この航空券は安いか高いかという話ではなくなりました。使い切れる旅程を組めるのであれば、合理的な投資だと判断したのです。
加えて私の場合、もともとこの夏はサンディエゴに行く予定もありました。プラハとサンディエゴ、本来なら別々に手配していた2つの行き先が一枚の航空券に収まる。そう考えれば、この価格はさらに合理的でした。
この判断軸の答え合わせは、フィンエアー ビジネスクラス搭乗記|世界一周の初日、羽田のラウンジからプラハまでから始めています。
どちらが向いているか
スターアライアンスが向いている人
- ANA・ルフトハンザ・シンガポール航空など、スター系の航空会社で組みたい人
- 訪問大陸が多く、距離を細かく管理しながらルートを最適化したい人
- ANA系の上級会員資格を持っている人(エコノミーで組むなら特に)
- 長期休暇が取りにくく、旅を複数回に分けたい人
ワンワールドが向いている人
- 訪問大陸を3〜4つに絞り、そのなかをじっくり回りたい人
- カタール航空のQsuiteなど、乗りたいビジネスクラスの座席がワンワールド側にある人
- JAL系の上級会員資格を持っている人(エコノミーで組むなら特に)
- 最低旅行日数の規定がないため、比較的短い日程で組みたい人
よくある質問
- JALに電話すれば購入できますか?
-
条件によります。自分の場合は、電話では1便ごとの空席確認に時間がかかるため、公式サイトでの旅程作成を薦められました。また購入後には、最初の搭乗便がJAL運航便でないことを理由に、JALでは取り扱いを受けられませんでした。旅程の1区間目の航空会社によって窓口が変わる可能性があるため、事前の確認をおすすめします。
- スカイチームの世界一周航空券は買えますか?
-
買えません。スカイチームは世界一周航空券プログラムの終了を決定しています。現在選べるのは、スターアライアンスとワンワールドの2つです。
- 最低旅行日数はありますか?
-
スターアライアンスは、ビジネスクラス・ファーストクラスで全体10泊以上、エコノミークラスで3泊以上の旅行日数が必要です。ワンワールドには最低旅行日数の規定がありません。
- 鉄道での移動も旅程に含められますか?
-
含められます。ただし地上運送区間として区間数にカウントされ、太平洋横断と大西洋横断を地上運送区間にすることはできません。ヨーロッパを鉄道でつなぐ旅程を考えている場合は、この点を織り込んでルートを組む必要があります。
- 途中で日本に一時帰国できますか?
-
スターアライアンスでは可能です。出発空港とは別の国内空港に戻る形にすれば、旅を複数回に分けられます。ワンワールドにはこの仕組みがありません。細かい条件があるため、利用する場合は事前に確認することをおすすめします。
まとめ|判断軸が決まれば、選択は難しくない
世界一周航空券は、スカイチームの撤退により実質2択になりました。選び方は、突き詰めると2つです。料金の決まり方が自分の旅程に合うか。そして、乗りたい航空会社がどちらにあるか。後者は、エコノミーなら上級会員資格、ビジネスなら座席プロダクトという形で、乗るクラスによって見るべきものが変わります。
自分は、3大陸に絞った旅程と、カタール航空・フィンエアーというプロダクトの魅力からワンワールドを選び、税込み1,003,760円でビジネスクラスの世界一周を発券しました。
この記事を書いているいま、旅はすでに終盤です。プラハからヨーロッパを陸路で縦断し、モロッコを回り、ドーハを経てニューヨークへ。約100万円という判断が正しかったのかどうか。その答え合わせも含めて、ここから旅の記録を書いていきます。

