前回、10年以上眠っていたDucati 1098Sを引き上げてきました。
今回はスタンド類が届く前に、まずは車両全体を眺めながら、フロントとリアを中心に初期状態を確認していきます。
結論から言うと、全体に汚れや錆はあるものの、現時点で致命的に見える部分はそれほど多くありませんでした。
一方で、長期不動車らしく、ブレーキまわり、チェーンまわり、リンクロッド周辺は優先して手を入れたい印象です。
見た目の印象だけで安心はできませんが、外観をひと通り確認するだけでも、どこに安心材料があり、どこに課題がありそうかはだいぶ見えてきます。
……実はこの車両、外観をろくに確認しないまま買ってしまっています。皆様は通常はこういう買い方をしないと思います。いま思うとだいぶ大胆です。
フロントまわり:フォークは好印象、ブレーキはOH前提

最初に見たフロントまわりの印象は、やはり「かなり汚れている」というものです。
全体にかなり埃が積もっていて、長いあいだ動かされていなかったことがひと目で分かります。
ただ、細かく見ていくと少し安心できる部分もありました。
インナーチューブに傷はなく、フォークの第一印象は悪くない

古い車両だと、インナーチューブの点サビや傷、シールからのオイル漏れが気になります。この個体は見た限りでは大きな問題はなさそうでした。
もちろん、外から見ただけで結論は出せません。それでも、最初の印象としては、フロントフォークは清掃とオイル交換を前提にしつつ、分解点検で状態を確かめていく流れでよさそうです。
見た目の汚れのわりに、致命的なダメージが見えないのはありがたいところです。
ブレーキキャリーパーはオーバーホール前提
一方で、ブレーキまわりは別です。
長期不動車なので、さすがに「そのまま」というわけにはいかないので、ブレーキキャリパーはオーバーホール前提、パッドも交換前提で見ています。
このあたりは「走る前に必ずやるべき部分」なので、慎重に進めたいところです。
フロントホイールに大きな傷は見当たらない
フロントホイールも確認してみましたが、大きなガリ傷や深刻そうなダメージは見当たりませんでした。
もちろん細かい汚れや経年感はありますが、全体としては想像より悪くない印象です。
まずは丁寧に洗って、改めて表面の状態や細かな傷を見てみたいところです。
リアまわり:チェーン・ボルト類・リンク周辺に課題あり

リアまわりは汚れと錆が目立つ
続いてリアまわりを見ていきます。こちらはフロント以上に、時間の経過を感じる部分が多くありました。

全体に汚れは酷めで、特にチェーンはくたびれて固着しています。チェーンやリアアクスル周りのボルトや、スプロケットを固定するボルトにも錆が出ていました。
チェーン交換は当然として、スプロケットやハブダンパーもどこまで手を入れるかは悩みどころです。このあたりは分解してみて、摩耗や固着の具合を見ながら判断したいところです。
スイングアームには、チェーンオイルが飛んだような筋がはっきり残っていました。以前のオイル塗布が少し多めだったのかもしれません。ここは最近話題のチェーンオイル論争ですね!
マルケジーニのロゴの色褪せに年月を感じる!
リアホイールのマルケジーニのロゴも、少し色褪せて黄色く見えました。性能に直接関わる部分ではありませんが、こういう細かな変化に、長い保管期間らしい雰囲気が出ます。
単なる劣化といえばそれまでですが、こうした細部を見ると、この1098Sが長い時間を止まったまま過ごしてきたことを実感します。
リンクロッド上下のピロボールまわりには錆が出ていた

リアショック自体は埃をしっかりかぶっていましたが、見た限りではオイル漏れはなさそうでした。こちらもまずは清掃して、あらためて状態を見たいところです。
それより気になったのは、リンクロッド上下のピロボールま周辺です。ここははっきりと錆が出ていて、見た目の印象としてあまり良い状態ではありません。表面だけで済んでいるのか、それとも中まで進んでいるのか。
ここはスムーズさに重要な部分でもあるので、今後分解して状態を確認したいポイントのひとつです。
外装全般:大きな傷は少なく、印象は想像より悪くない


車両全体を見た印象としては、やはりかなり埃っぽく、長年眠っていた車両らしい雰囲気です。外装そのものは「汚れてはいるけれど、思っていたより悪くない」というのが率直な感想でした。
大きく目立つ傷や、すぐに外装交換を考えたくなるようなダメージは、現時点ではあまり見当たりません。
まずはしっかり洗って、汚れを落とした状態で改めて判断したいところです。
シートストッパーは補修方法を考えたい
ひとつ気になっているのが、引き渡し時にもぎ取ってしまったシートストッパーです。
1098系ではわりとよくある話のようで、経年で硬化してしまうらしいのですが、見た目としてはやはり気になります。
走行性能に直結する話ではないものの、こういう部分をどう整えるかで、全体の仕上がりの印象は変わってきます。
ガソリンチェック:想像以上に状態は良好だった
長期保管車両で必ずしたいのが、残留ガソリンチェックです。年数の経った車両では、タンク内の錆や、燃料の変質、固形物の発生が気になります。
最近のガソリンは質が良くなったとはいえ、10年前のものですから。
タンク内のガソリンは案外きれいだった

写真が綺麗に取れてなくて申し訳ないですが、今回実際にガソリンを抜いて確認したところ、ガソリンはかなりサラサラしていて匂いもまるで新品のよう。サビも浮いているようには見えません。
吸い上げる位置を変えながら何度か見てみましたが、錆らしきものや固形物も、少なくとも目視では確認できませんでした。10年以上眠っていた車両としては、ここはかなり安心材料です。
(撮影のためペットボトルに入れていますが、すぐガソリン携行ボトルに移してガソリンスタンドで処分してもらいました)
とはいえ、タンク内が大丈夫そうでも、燃料ポンプやインジェクターの内部まで無事とは限りません。燃料系は、実際に始動へ向けて進める段階で、もう一段慎重に見ていく必要がありそうです。


Day2外観チェックで見えた整備ポイント
- ブレーキまわりのオーバーホール
- チェーン、スプロケット、ハブダンパーを含むリア駆動まわりの確認
- リンクロッドとピロボール周辺の分解点検
- フロントフォークとリアショックは、清掃後に再度状態確認
- 外装は洗車後に改めて細部をチェックし、必要なら補修方針を決める
- 燃料ポンプ・インジェクターのチェック
ざっと見た限りでは、想像していたよりも致命的な部分は少なそうです。その一方で、長く止まっていた機械らしく、見えにくい部分に課題が潜んでいる可能性は十分あります。
見た目がひどいからといって中身もだめとは限らないし、逆に見た目が悪くなくても安心はできない。
長期不動車の面白さと難しさは、まさにそこにあるのだと思います。
次回は、スタンドが届いたらもう少し作業しやすい状態を作って、カウルを外しながらさらに深く見ていく予定です。
Ducati 1098S レストア記 Day3|片持ちレーシングスタンドを選ぶ
