ブレーキを組み上げ、エア抜きが終わって一晩放置して発見したもの——それはどこかからブレーキフルードが漏れている。 今回はその顛末だ。
漏れていた
念のため、段ボールを敷いておいてよかった。
よく観察してみると、キャリパーの表面よりも、内側の方が湿っているように見える。ピストンをうまく組めなかったのだろうか。中でも怪しいのは2つのピストンだ。
そして、一つの疑念が頭をよぎった。
シールをブレーキフルードに漬け込んでおいたとき、前後キャリパーのシールを区別せず、ひとつの容器にまとめて入れていた。Ducati 1098S レストア記 Day10|ブレーキ系② 洗浄、磨き、組み付け。そしてで書いたように、フロントはブレンボ純正(120279961)、リアはホンダ純正(06452-MAK-003)で、品番も厚みも違う。それなのに、組み付け時に前後を取り違えた可能性がある。

つまり、また全部分解して確認し直す必要があるということだ。
2度目の組み直し:前後キャリパーのシールの違いがあった
2回目の分解は、汚れも固着もない状態だから、あっという間に終わる。
シールの厚みを慎重に確認しながら、今度はブレンボ純正シールに付属していたグリスを使って組み直す。「純正に付いてくるんだから間違いないだろう」という判断だった。
エア抜きのために工具を挟み込む方法も、少し変わってきた。最初に使っていたものから、厚みのあるモンキーレンチとプライヤーへ。落ちないように、タイラップで固定しておく。何度も同じ作業をしていると、自然と道具の運用が改善されていく。

そしてフルードを入れて、エア抜きを始めた。
また、漏れる。

何かがおかしい。
付属グリス犯人説
ふと、以前読んだ記事の記憶が蘇った。
「ブレンボのシールに付属していたグリスを使ったら、漏れた」——確か、そんな内容の記事を見た覚えがある。「ブレンボ グリス 漏れ」なんかで検索してみてほしい。
1回目の組み上げには何も考えずシリコングリスを使い、2回目はブレンボ付属のグリスを使ってみた。「試してみたい」、それだけだったが、それが裏目に出た可能性がある。
3度目の組み直し:内側の漏れは止まった
3度目の分解に突入するしかない。もうすっかり慣れたものだ。今回はシリコングリスを塗布して、丁寧に組み直す。
ここで一つ、小さな教訓を書き残しておく。
3度の分解で、銅ワッシャーをかなり消費した。バンジョーボルトの締結部に挟まる、薄い銅のワッシャーだ。一度使うと潰れて密着し、再使用すると漏れの原因になる。多めに買っておいて本当によかった。同じことをやろうとしている人は、必ず予備を多めに用意しておくべきだ。

シリコングリスで組み直したキャリパーは、2日間放置しても漏れる気配がない。余計なことをせず、シリコングリスを使っておけばよかったのだ。

よし、これで安心して旅に出かけられる。
そう——これからクアラルンプール、マラッカ、シンガポールへ向かうのだ。バイクは地下駐車場に置いたまま、しばらく不在にする。
旅の中身はクアラルンプール・マラッカ・シンガポール|東南アジア縦断の旅、全記録に書いた通りだが、その間すっかりブレーキのことなど忘れていた。
4度目の組み直し:帰ってきたら、また漏れていた——今度は外側から
旅から戻り、地下駐車場に確認に行くと——
また漏れていた。

ただし、今度はすこし様子が違う。外側から滲んでいるように見える。
写真ではわかりにくいが、よく観察すると、ブリーダーボルトのあたりが疑わしい。トルクレンチで規定通りに締めたつもりだが、強く締めすぎたのかもしれない。

念のため、フロントだけでなくマスター側を含めて、ブリーダーボルトを全数新品に交換した。
その後は、漏れない。
ようやくブレーキキャリパーの分解整備とセットアップが完了だ。細かい気泡がブレーキラインの中に残ることがあるというので、仕上げとしてブリーダーの近くに空気が集まる位置でキャリパーを固定し、日を空けてエア抜きを丁寧に行っておいた。

ENDLESSのブレーキパッド——青という選択
エア抜きが完了したところで、新調したフロントブレーキパッドを投入した。選んだのはENDLESS SUPER HYBRID/SINTERED EMP033。

正直に書くと、このパッドを使ったことはない。ネットを探してもインプレ情報はほとんど出てこない。それでも選んだ理由は二つある。
ひとつは、いつかサーキットを走るかもしれない、という想定。ENDLESSというブランドへの個人的な信頼。もうひとつは——青いパッドが、Garage Bluらしい選択だと思ったからだ。
純正の1万キロ走行後パッドと並べて比較してみると、面白い違いがあった。

ENDLESSの方が、ベースがやや厚く見える。ブレンボはベースに面取りがしてあるが(もしかすると使用中に削れた?)、エンドレスにはない。この面取りの違いはタッチに影響するかもしれない、と感じた。
パッドの構造も違う。ENDLESSは一ひとつのブロック、ブレンボはふたつのブロックに分かれている。パッドの冷却に違いがありそうだ。この違いがベースの厚さにも影響しているのだろうか?

実走インプレは、いつかサーキットで試したときに追記したい。
ステップ類も清掃とグリスアップ完了
フロントのブレーキ・クラッチのマスターシリンダー・レバーを取り外して清掃・グリスアップしてたということは書いたが、同時に左右ステップを外して清掃・グリスアップをしておいた。写真は清掃前のものだ。

経年変化で黒の酸化被膜に白サビが出ているが、どのように処理するかはおいおい考えることとした。今は動くようにすることが先決だ。これ以上進行しないように、綺麗に磨いて表面にシリコングリスを塗布しておく。
ブレーキ周り、ひとまず完了——だが
時系列が前後するが新しいタイヤが入ったフロントホイールが収まり、エンドレスの青いパッドがキャリパーの奥に見える。少しマシンが生き返ったように見えるから不思議だ。

これで、ブレーキ周りはひとまず完了。
しかし、近づいてもう一度よく見ると——


