MENU

Ducati 1098S レストア記 Day12|配線を伝うオイル漏れ

ジェネレーターからの配線を伝わったエンジンオイルの漏れ

フロントブレーキの漏れ確認中に、もうひとつ気になっていた「漏れ」があった。それはエンジンオイルだ。

Ducati 1098系の持病として知られている、ジェネレーター(厳密にはステーターコイル)から伸びる電線を伝って、エンジンオイルが滲み出てくる症状そのものだ。最悪の場合、配線を遡上したオイルがカプラーを越えてレギュレーターまで到達し、レギュレーターを破壊する。レギュレーターまで到達しなくても、カプラーを燃やしてしまうこともある。

Ducati 1098Sのジェネレーター配線、カプラーからオイルが滲んでいる
目次

Ducati 1098Sの持病|配線を伝うオイル漏れ

なぜ電線をオイルが伝うのか

内部の配線構造が原因なのか、配置の問題なのか、根本原因ははっきりしない。おそらくジェネレーターから電気を送る配線の根元が、エンジンオイルに浸かってしまうケースがあるのだろう。ただ事実として、ジェネレーター側から染み出たエンジンオイルが、被覆と導線の間、あるいは導線同士の隙間を毛細管現象で伝ってくる。距離があってもじわじわと進み、最終的にカプラーまで到達する。そして、そのカプラーを越えて反対側の配線にまで侵入していく。

オイルで汚染されたDucati 1098Sのレギュレーター側カプラー

レギュレーター側のカプラーを確認すると、案の定オイルでべったりと濡れていた。熱を持つ場所だけに、樹脂の一部が焼けたように変色している。状態としてはあまり良いとはいえず、気づくのが遅ければ、走行中にレギュレーターが壊れて充電が止まり、エンジンが落ちることもあっただろう。

オイルで汚染されたDucati 1098Sのジェネレーター側カプラー 焼けている

1098/1198/848系に共通する症状

この症状はTestastretta Evoluzione世代の縦置きL型ツインに広く見られる。1098Sだけでなく、1098・1198・848・848EVOといったスーパーバイク系で報告例が多い。

オイルが滲んできているのを見つけたら、それは「いずれレギュレーターが壊れる前兆」だと考えていい。そもそも、レギューレーターは熱でパンクするのだが。

対策の検討|中間コネクターという選択肢

参考にした事例

D-EVOさんにも対策方法はあるが、加えて、ベンツなどの他車種でもカムシャフトセンサーなどからエンジンオイルがハーネスを伝う事例があり、その対応記事も参考にした。エンジンオイルが毛細管現象で伝わらないように、そもそも「狭い隙間」を無くしてしまおうという発想だ。

この方法が効果あるか不明なため、まずは試作として、車両側のハーネスとレギュレーター側のハーネスの間に「短い中間コネクター」を割り込ませ、そこでオイルを物理的に食い止めることにした。ジェネレーター側の根本対策ではないが、レギュレーターを守るという目的に対しては合理的な選択だと考える。

当初プラン|熱収縮コネクターによる防液処理

防液処理用に、まずはDAYTONAの熱収縮防水チューブを用意した。半田入りで、収縮させると同時にコネクター内部に防水処理が施されるタイプだ。一番手間がかからなさそうな方法だった。

収縮してしまったDAYTONA製熱収縮防水チューブ

ところが、いざ使おうとしたところ、購入した個体の大半は片側の口径がすでに収縮しきっており、導線を入れることすらできなかった。保管中にどこかで熱を受けたのだろう。使えそうな個体は1つしかなかった。返品交渉が面倒だったので、このプランは早々に放棄することにした。なお、amazonの写真を見ると一方が小さい。気づくべきだった。

二段構えの自作処理に切り替え

プランB。ベンツの対策を参考にした、以下の二段構えだ。

第一に、導線とカプラーの端子の結束部分に半田を流し込み、隙間を閉じて毛細管現象が起きにくい状態にする。被覆と導線の間には半田を流し込めないので、その隙間はどうしても埋められないが、結束部分の隙間の大半を塞げば進行速度は大きく落ちる。そのうえでハーネステープで覆っておく。

カプラー端子の結束部分に半田を流し込み、隙間を埋め、熱収縮チューブで止めた状態

第二に、ハーネスの途中で被覆を一度剥き、その部分にも半田を流し込んで「もし侵入してきても、ここでオイルの遡上が止まる」という関門を作る。テスト期間中はここをむき出しにして、エンジンオイルが被膜の内側を伝ってくるかを確認する。うまくいったら最後に熱収縮チューブで全体を覆い、外部からの侵入も防ぐ。

ハーネス途中の被覆を剥いて半田処理した、オイル遡上の関門

この処理を施した中間コネクターを、車体側ハーネスとレギュレーター側ハーネスの間に割り込ませた。

3ヶ月経過後の結果

結論から言うと、この試作の中間コネクター自体は最終的に別の理由で外すことになった。ただ、製作してから外すまでのおよそ3ヶ月間、反対側(レギュレーター側)のコネクターにオイルが回ることはなかった。少なくとも防液処理としては機能していたと言っていい。

試作の中間コネクターは検証用として短く作っていたが、毛細管現象の進行距離が長いほど対策に余裕が出ると考え、本番用は配線長を十分にとって作り直した。さらに、カプラーの内側と外側を液体ガスケットでシールし、エンジンオイルの侵入を二重に防ぐ構造にした。熱収縮チューブが途中で切れて赤い被膜が出ているのは、オイルが熱収縮チューブの内側を伝わてきても、ここで排出できるようにするためだ。

配線長を延長し液体ガスケットでシールした本番用中間コネクター
防水処理したカプラー

とはいえ、ジェネレーター側からオイルが滲み続けているという根本問題は解決していない。これはいずれ抜本的に対処しなければならない宿題として残る。Ducati 1098Sを長く維持するなら、避けては通れない作業だ。

症状の早期発見には

このコネクターがある場所は、車体左側のバッテリーケースの下側だ。シーズン初めや12ヶ月点検などのタイミングで、一度確認しておくのが良いだろう。

車体左側、バッテリーケース下に取り付けたDucati 1098Sの中間コネクター

簡易的な対策として、キッチンペーパーなどをカプラーに挟んでおく方法もある。少しはオイルを吸収してくれるはずだ。これはベンツの対策記事に記載があった方法だが、Ducatiの場合は大きな電流が流れる場所なので、保証はできない。試す場合は自己責任で行ってほしい。

ブレーキを整備している間に、タイヤの交換も済ませてきた。次回はその記事を書くことにする。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次